20. 6月 2023

Jakob製ワイヤを使ったテンセグリティ構造

2021年、ジュネーヴで開かれた時計見本市でTenCylindreが発表されました。Jakob製ワイヤは最小の重さで、複雑なテンセグリティ構造に剛性を与えます。この構造は建築家、エンジニア、研究者によって構成される国際チームによって開発されました。

TenCylindreは高さ7 mの張力を使ったシリンダーによる構造物で、フランスの芸術家クレマン・ヴィエーユが、ジュネーヴで開かれた見本市「Watches and Wonders 2021」の時計メーカー、エルメスの展示ブース用に設計し、AEA SAグループとの国際的な共同作業によって開発され、組み立てられました。

構造物は180本のカーボンロッド、180個の圧力リング、84本のラジアルワイヤ、348本のスパイラルワイヤによって構成されていて、吊り下げられ、軸に沿って広がっています。構造物の安定性は自己張力によって生まれています。この張力を生み出しているのが水平方向に統合されているJakob製ワイヤです。

 

構造物のためにJakob Rope Systemsは2種類のステンレススチール製ワイヤを工場で製造し、納入しました。1種類目のワイヤはテンセグリティ構造を圧縮するもので、この84本のラジアルワイヤ (4 mm) が14個の水平面に配置されていて、どの面にも6本のワイヤがあります。もう1種類のワイヤは348本 (3 mm) あり、スパイラル状に配置されていて、右回りまたは左回りになっています。このワイヤは円筒の外側で動くワイヤと内側で動くワイヤに分けられ、そこから外径が3.35 m、内径が1.65 mの中空の円筒形が生まれます。

ジュネーヴの時計見本市の終了後、テンセグリティ構造はローザンヌにあるEPFLのラボに戻されました。ラボでは構造物に関して一連のテストが行われ、理論的な計算結果と実際の構造物の挙動がどのくらい一致するかが検証されました。

 

発注者 : エルメス(パリ)

プロジェクトチーム:

  • AEA(ベッリンツォーナ/ジュネーヴ、フェリックス・シュテンプフリ建築士、フィリッポ・ブロッゴーニ建築士)
  • クレマン・ヴィエーユ(サン=タルバン=レイス)
  • INGPHIエンジニア事務所(ローザンヌ、ベルナルト・アダム工学士)
  • マイアミ大学工学部(ランドルフ・ローデ・バルバリゴス教授)
  • EPFL·CCLab(ローザンヌ、トーマス・ケラー教授、タラ・ハビビ工学士)
  • SUPSl機械工学および材料技術研究所(ルカ・ディヴィアーニ工学士、シモーネ・サラミナ工学士)

プロジェクトパートナー:

  • LT Bruno Lehmann(トルプ)
  • Jakob Rope Systems(トルプシャヘン)
  • BWB(シュタンス・オーバードルフ)
  • Mateduc composites(サント=ジャンム)
  • Friderici special(トロシュナ)
  • G.M.I. General Montaggi lndustriali(ヴィッラドーゼ)

写真:AEA SA (ベッリンツォーナ/ジュネーヴ)